カーボポール®(カルボキシビニルポリマー)の分散と溶解
カーボポール®*は水溶性ビニルポリマーで、さまざまな産業で乳化剤、安定剤、沈殿防止剤、増粘剤、ゲル化剤として使用されています。カーボポル®にはいくつかのグレードがあり、ジェルやクリーム、ローション、洗剤、消臭スプレーなどの化粧品・トイレタリー製品の製造に幅広く使用されています。ゲル化作用を2段階で引き出します。まずはカーボポール®の分散と溶解、そして次にpH値を上げる薬品を加えて溶液を中和させます。中和剤にはトリエタノールアミン(TEA)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが使用されます。
*カーボポール(Carbopol®)はLubrizol社の登録商標です。
プロセス
製品の種類により製造方法は異なりますが、概要は次の通りです:
課題
- カーボポール®は一般的に非常に軽い低密度の粉体で水に加えると水面に浮いてしまうため液中に取り込むには強力な撹拌が必要 - 発塵問題を引き起こす
- 水に加えるとカーボポール®は凝集しやすく、分散しにくい
- 流動の悪い粉体は液中への投入の調整が難しい
- 中和されるまで粘度が大きく変化しないものもあるが、グレードによっては液に加えてすぐに粘度が上がるものがあり、粉体の投入が難しい
- 完全に分散させ十分に溶解させるのに長時間の混合が必要になる
- 空気が混入すると泡沫が生成され、薬品を添加しないと解消できない場合がある
- 混入した空気は除去できず、ジェルが懸濁し、重量ではなく容量で計測・包装する場合に特に問題となる
- 従来の撹拌作業では歩留りが悪く、ロスを補うためにカルボマーを余剰に加える必要がある
- 剪断作用に長時間さらされるとポリマーが変質して粘度が下がってしまう
ソリューション
カーボポールの分散にシルバーソンミキサーを使うことでこれらの問題に対処することができます。
分散
従来の方法と比べて大幅に短縮された時間で分散ができ、ポリマーを必要上に剪断するのを避けることができます。動作の原理は下のとおりです。
中和
カルボマーの濃度やグレードによって、中和工程でもシルバーソンミキサーを使用することができます。高粘度製品の場合は低剪断スターラー/スクレーパーを使用します。
Stage 1
タンクに適切なベース液を入れます。ミキサーを始動してからカーボポールを加えます。ウルトラミックスヘッドの高速回転によって強力なボルテックスが作り出され、粉と液をワークヘッドに引き込んで素早く混合されます。
Stage 2
材料がヘッドの外側のスロットから液中に排出され、その時に凝集塊が分解されます。
Stage 3
ウルトラミックスが生み出すタンク内の強力な流動によって、すべての材料が素早く繰り返しワークヘッドを通過して段階的に細粒化され、接液面積が大きくなります。これにより、素早く溶解が完了します。
メリット
- 粉ダマや凝集のない混合液
- カルボマーが適切に分散され、原材料の歩留りが向上
- 空気の混入が最小限
- 安定した乳化
- 製品の安定性と再現性
- 高速分散によって混合時間を短縮し、ポリマーの過剰剪断を避けられる
処理量、カルボマーのグレードや濃度、製品の粘度(中和前の溶液のpHによる)などに応じて各工程条件に最も適したシルバーソンミキサーを選択します:
インライン型ハイシアミキサー
- 大きな処理量に最適
- 粉体を液中に取り込むための高効率アジテーターをタンク内で併用
- 空気の混入がない
- 既存の設備への取り付けが容易
- セルフポンプ効果(粘度による)
- 高粘度処理に対応したモデルあり
- マルチステージユニットあり
- 高サニタリーユニットあり
フラッシュミックス
- 大きな処理量に最適
- 大量の粉体をすばやく取り込み・混合可能
- 空気の混入が少ない
- 洗浄が容易
- 操作が容易
- 高粘度液の処理に対応
- 従来よりも高温度での処理に対応
- 自動化が容易
- オプションのホッパーフロー補助あり